人間は多くの環境に支配されて生命を維持している動物だ。細胞もシングルセルは周囲の細胞とのアライアンスという環境の中で機能を発揮しているらしい。遺伝子だってそんな細胞の役割の設計図だから多様性を持たざるを得ないし、細胞表面上でのシグナル伝達はもっと複雑なのかもしれない。昔のヒトはよく云ったものだ、「三つ子の魂百まで」と。ヒトの人生も生まれてから3年くらい母親の接触するあらゆる環境が自分自信のヒトとしての基盤の多くを決め、幼児期から幼少期間で出会う友人、場所、物事などに影響され少年期に入る。中学・高校での友人や出会う事すべてが成人への材料になる。成人になり社会人になっても十年くらいずつ出会う環境は自分の存在感や幸福感に大きな影響を与える。
「団塊の世代は元気が良い」という意見は良く耳にするが何故だろう。戦後何も無い時代に生まれ、米国から影響されて持ち込まれるすべてが新しく新鮮な毎日。しかも子供がやたら多く、生きるための過密競争の時代を個々に乗り超えているのだ。団塊の世代は今、はじめて元気ジジババの日本を生んでいる。だから定年後の遊び方も過ごし方も実にうまい。ところが、団塊世代の末っ子以降の年代から第二ベビーブーム期時代の人種は真逆で、遊び方すら知らない者が多い。これには賛否両論、いろいろ言われているが、おそらくヒトの生きる時代と、その流れの中で多彩な環境や挑戦する競争力など多くの事柄やカルチャが異なっていたのではないかと伺える。それは、現代の少年や20代人種をみても、また違う要素が存在するように見受けられる。ところが時代はどんどん流れ、元気な団塊世代人種もいずれ減少し、後輩達はすぐに定年後の人生を迎えることになる。彼らは定年後に生きがいを感じる趣味、遊びなどできるのだろうか?とても心配だ。
キッザニア(KidZania)という名前をみなさんは、どこかで聞いたことがあるだろうか。子供達の社会教育を進めるために、子供主役の街をつくり、いろいろな仕事にチャレンジしてリアルに遊び、社会経験をしてもらおうというプロジェクトだ。とても素晴らしい発想の事業で大いに推奨したいと思う。
これも環境を体感し、感性を豊かにしようというヒトの生命維持必須のプロジェクトでなないだろうか。そうであれば、定年を間近にした遊びを知らない中年に遊び方を教える企画があっても良いのではないかと思う。私はそれをプロザニア(ProZania)と命名したい。大人に遊び方や遊びの感性を得てもらい楽しい老後を送るキッカケのプロジェクト。楽しい老後は、隠居ではなく陽居で、ワクワクする毎日。想像するだけで人生が楽しくなる。遊び方は何でも良い、チョイ悪オヤジが主導して、ギター教室やロック講座なんてどうだろう。楽器に縁がなかったオヤジが1曲ギターを弾けるようになるなんて、人生バラ色に思えるはずだ。その他好きな料理、イラスト、そば打ち、服飾、落語、スポーツ、ビール作り、アウトドア研究または映画評論や昔話。若い時代にあった文化を持ち込めばよい。くだらなくて、バカバカしいテーマは、結構それだけで面白くて、笑いが止まらないテーマがベストマッチ。そんな仲間のコミュニティーができると、必然的に仕事の話もまとまり、“まだまだ若い”と新しいベンチャー企業が生まれるかもしれない。ヒトは前向き志向になれることがベスト。自分がどうあるべきかが問題で、それに気づいたヒトがハッピーな老後を過ごし人生を生き抜けるのではないだろうか。
いかがでしょうか?そんな企画。

岩瀬 壽 氏
一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー、
バイオディスカバリー株式会社 代表取締役社長&CEO。
1951年東京都生まれ。日本大学理工学部工業化学科卒。メルクジャパン、日本ウォータズ、日本ミリポア、日本パーセプティブ、アプライドバイオシステムズ、バリアンテクノロジーズ、アジレントテクノロジーなどで分析機器・バイオサイエンス機器の経営・マーケティングを経験。2001年バイオディスカバリー(株)設立。2013年より日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー兼任。
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