JASIS2024 ライフサイエンス分野・みどころ

はじめに

一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー、バイオディスカバリー株式会社 代表取締役社長&CEOの岩瀬 壽です。

分析とは歴史を振り返ると「これは何からできているのだろう?」「これはどんな化合物を含んでいるのだろう」という疑問から、化学と物理を駆使して「中身の成分や仕組みを知る科学」として進展しました。特に医薬品開発においては、クロマトグラフィー技術や質量分析技術が創薬研究および製薬技術へ貢献した功績は測りきれないものがあると云えるでしょう。また、分析計測機器と分析化学技術の発展は、過去20年で急速な進歩を遂げたバイオサイエンス領域において大きな役割を果たしてきました。生命科学の進歩は、1980年代後半より遺伝子や蛋白質の構造と機能の基礎を解き明かす技術革新の時代に始まり、ヒトゲノム解読完了宣言が成された2003年から現在に至る20年間で、ICT技術の進歩にも頼りながらさらに急速な進化と実用化の時代に突入しようとしています。

2015年1月30日、オバマ大統領は一般教書演説にて「プレシジョン・メディスン・イニシアティブ」を発表し、NIHが大規模な疫学研究の大型予算を投じる事を表明しましたが、2024年現在、その計画は着実に進行され、シングルセル解析や空間トランスクリプト―ム解析、そして各種イメージング技術やAI応用による疫学解析と交差しながら臨床オミックス研究の実現にまで、その着地点が観えてきています。

JASIS2024 ライフサイエンス分野みどころ

2024年開催のJASIS2024では、ポストコロナ時代におけるスタートの年として、コロナ前2019年とほぼ同じ数の出展社・参加企業数を獲得し、新しく世界に向けた日本発の産学連携プログラムを意識して実行企画が計画されました。イベント全体の傾向としては、自動化を主にDXを加速できるよう計画され、ライフサイエンス分野としても医薬開発では、低分子医薬開発における結晶多形創出の革新的な技術を特集し、バイオ医薬開発においては、本年3回目となる日本生物工学会との共働アライアンス企画としてのトピックスセミナーJAIMA/日本生物工学会 共働ピッチ・ネットワーキングが計画されました。これらの新しい取り組みは、いずれ日本発の技術がグローバル視点で注目され、分析機器として「Japan as No.1」時代を復活させる火ぶたを切ると確信しています。

JAIMA/日本生物工学会 共働ピッチ・ネットワーキング

生物工学と分析産業の間で「変革の種を見つける交流会」

発酵の科学における日本の技術と産業は、歴史的に見ても世界的ポテンシャルを有しています。JAIMAでは、発酵学からスタートした日本生物工学会とのアライアンス企画を推進してきましたが、JASIS2024では「変革の種を見つける交流会」を共働のピッチ・ネットワーキングとして開催いたします。

本企画の構成は、プレゼンテーション(前半)と交流会(後半)からなり、4名のピッチャー講演と交流会でのより深い共働可能性を討議できる場を提供します。

場  所: TKP東京ベイ幕張ホール1F コッツウォルズ(アパホテル幕張隣接)
定  員: 事前登録制・先着50名限定
参 加 料: ¥5,000(飲食付き)※税込
申し込みはこちら: 7月15日より受け付け開始(こちらのリンクよりご登録ください)
主  催: (一社)日本分析機器工業会 技術委員会 LS小委員会
JASIS委員会 主催者企画小委会

JASISスクエア講演

「メタボローム分析技術の最新動向と今後の課題」
日時:2024年9月6日(金) 10:30~11:30
場所:幕張メッセ・展示会場内JASISスクエア Aステージ

講演内容
本講演では、代謝物の包括的な解析を行うメタボロミクス(メタボローム解析)における機器分析技術の最新動向について紹介するとともに、次世代メタボローム分析に必要となるキーテクノロジーについて解説する。新たなメタボローム分析技術の開発の重要性をご理解いただき、それらの技術開発における取り組み、課題について議論したい。
講演者:馬場 健史
九州大学 生体防御医学研究所・教授

JASIS2024展示会場内JASISスクエア会場図
JASIS2024展示会場内JASISスクエア会場図

トピックスセミナー

テーマ:医薬開発における結晶多形研究最前線

~低分子結晶多形研究に光を刺す前人未踏の革新的な技術とは~
国際会議場 9月5日 10:30~12:00

  • 講演1.「特許戦略にみる結晶多形と世界動向」
    田中康子 エスキューブ国際特許事務所 所長・弁理士
  • 講演2. 「新しい晶析を生む新技術とは」(仮)
    藤内謙光 大阪大学大学院工学研究科 応用化学専攻 教授
  • 講演3.「医薬品における結晶多形の重要課題への挑戦」
    ~Late-appearing polymorph、結晶多形の判別~(仮)
    山野光久 スぺラファーマ(株)製薬研究本部 主席研究員

テーマ:生物工学における自動化の革新

国際会議場 9月5日 13:00~14:30

  • 講演1(座長兼司会)
    「日本生物工学会の魅力とこれから」
    青柳秀紀 筑波大学生命環境系 教授
  • 講演2. 「バイオ実験自動化の現状・課題・展望」
    堀之内貴明 産業技術総合研究所 人工知能研究センター オーミクス情報研究チーム
  • 講演3. 「バイオ「実験」DXで挑む1細胞オミクス技術開発 2024」
    林 哲太郎 理化学研究所 生命機能科学研究センター バイオインフォマティクス研究開発チーム

テーマ:光濃縮DXによる医療・創薬・環境・エネルギーの異分野エコシステム創成

国際会議場 9月4日 13:00~14:30

  • 講演1.「LAC-SYS研究所の紹介と光濃縮DXによる医療・創薬」
    飯田琢也 大阪公立大学 理学研究科/LAC-SYS研究所(RILACS) ・教授/所長
  • 講演2. LAC-SYS研究による環境計測・エネルギー(環境浄化型微生物発電)
    床波志保 大阪公立大学 工学研究科/LAC-SYS研究所(RILACS) ・准教授/副所長

テーマ:日本薬局方セミナー

国際会議場 9月5日 12:30~14:30

  • 講演1.「日本薬局方に関する最近の話題」
    齋藤 嘉朗 国立医薬品食品衛生研究所 副所長
  • 講演2. 「元素不純物試験法の国際調和を始めとする理化学関連試験法の動向」
    加藤 くみ子 北里大学 薬学部・教授
  • 講演3. 「はかり(天秤)に関する一般試験法及び新規参考情報と今後の見通し」
    合田 幸広 国立医薬品食品衛生研究所 名誉所長, 客員研究員

テーマ:医薬品製造におけるDX

国際会議場 9月6日 13:00~14:30

  • 講演1.「AI創薬とデータ統合」
    水口 賢司 大阪大学 蛋白質研究所 計算生物学研究室・教授
  • 講演2.「Digitalization transformation in Biopharmaceutical Industry」
    Jinhong (Andrew) Kim Atkins Réalis Director、Industrial South Korea
  • 講演3.「プロセスインフォマティクスを駆使して製造DXを加速する」
    加納 学 京都大学 情報学研究科・教授
PROFILE

岩瀬 壽 氏

一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー、
バイオディスカバリー株式会社 代表取締役社長&CEO。
1951年東京都生まれ。日本大学理工学部工業化学科卒。メルクジャパン、日本ウォータズ、日本ミリポア、日本パーセプティブ、アプライドバイオシステムズ、バリアンテクノロジーズ、アジレントテクノロジーなどで分析機器・バイオサイエンス機器の経営・マーケティングを経験。2001年バイオディスカバリー(株)設立。2013年より日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー兼任。

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