全24回:1回目「洗浄バリデーションの最前線~TOCを駆使した効率的なアプローチ~」

洗浄バリデーションの重要性と分析技術

製薬業界において、洗浄バリデーションは品質管理の重要なプロセスであり、規制当局からの厳格な要求が求められています。本連載では、洗浄バリデーションにおける分析技術、コスト評価、サンプリング手法、ワーストケース評価など、実務に直結するテーマを幅広く取り上げます。特に、TOC(全有機炭素)を活用した効率的な洗浄バリデーション手法に焦点を当て、HPLCや導電率との比較、オンライン・オフライン・アットライン測定の利点、PAT(Process Analytical Technology)の応用など、最新の知見を交えて解説していきます。全24回にわたる本連載を通じて、洗浄バリデーションの理論と実践の両面から理解を深め、より効果的な手法を選択できるようになることを目指します。

洗浄バリデーションの分析法:効果的な手法の選択

洗浄バリデーションは、製薬業界において非常に重要なプロセスです。適切な分析法を選択することで、医薬品の品質と安全性を確保することができます。今回は、洗浄バリデーションにおける代表的な分析法についてご紹介します。

まず、特異的分析法として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)があります。HPLCは、化合物を分離し、UVなどの検出器で測定する手法です。特定の残留化合物を検出するのに適していますが、干渉化合物や残留化合物の特性を考慮する必要があります。

次に、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)です。ELISAは、特定の抗原や抗体を検出する手法で、特定のタンパク質を検出するのに適しています。ただし、タンパク質が変質する場合は検出が難しくなります。

紫外/可視分光光度法(UV/Vis)も一般的な手法です。溶液の吸光度を測定することで、シンプルに分析が可能です。しかし、共存物質による干渉の可能性があるため、注意が必要です。

非特異的分析法としては、全有機炭素(TOC)と導電率があります。TOCは、有機残留物を酸化し、二酸化炭素を測定する手法で、高感度に検出が可能です。ただし、異常値が得られた際の調査には他の分析法が必要です。導電率は、洗浄水中のイオン性物質を検出する手法で、自動化が簡単で高感度ですが、リンス法にしか使えないという制約があります。

その他の分析法としては、目視検査、バイオバーデンやエンドトキシン検出、イオンモビリティスペクトロメトリー(IMS)、pH、赤外線法(NIR/FTIR)などがあります。これらの手法は、それぞれの特性に応じて適切に選択することが重要です。

洗浄バリデーションのフェーズは、デザイン、バリデーション、継続的なベリフィケーションの3つに分かれます。各フェーズにおいて、目的に応じた適切な分析法を選択することが求められます。

洗浄バリデーションにおいて、効果的な手法を選択することは、製品の品質と安全性を確保するために欠かせません。各フェーズに最適な分析方法を選択することが理想ですが、実際には使用目的に対して適切な分析法を選ぶことが重要です。

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ライター:セントラル科学株式会社 業務推進部 梅谷光祐

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