全7回:4回目「洗浄バリデーションの新たなステップ:TOC活用による効率化」

洗浄バリデーションの新たなアプローチ:TOCの有効性

製薬業界における洗浄バリデーションは、製造プロセスの中で極めて重要な役割を果たしています。洗浄工程は、製造設備に残留物を残さず、次のバッチの製造に使用できるようにするために設計されています。しかし、特異的分析方法に依存すると、設計から完成までに数年かかり、多くの人手を要することが課題となっています。

ここで注目されるのが、TOC(全有機炭素)を用いた分析方法です。HPLCなどの特異的分析方法と比較して、TOCは分析法の開発がより簡単で、賦形剤や分解物、洗浄剤が除去できていることも検証できます。例えば、ある製薬会社では、HPLCを使用していた時期には洗浄バリデーションに1年以上かかっていましたが、TOCに切り替えたことで、わずか数ヶ月で完了できました。TOCを実装する際には、重要な洗浄プロセスパラメータ(TACT)を確認し、新しい洗浄工程を改良・変更することが重要です。

TOCの導入事例と効果

多くの製薬会社は、特定の物質を測定する特異的分析方法ではなく、TOCを利用した方法に採用しました。これにより、バリデートされた洗浄工程や洗浄パラメータの性能をより効果的に検証できるようになりました。例えば、ある企業では、TOCを導入することで、洗浄工程の効率が大幅に向上し、製造ラインのダウンタイムが減少しました。

PDA技術レポート第49号と洗浄バリデーション

さらに、2010年と2012年にPDAは技術レポート第49号でバイオテクノロジーにおける検討事項を発表しました。この報告書は、FDAから派遣された専門家チームによって作成され、洗浄バリデーションに関する新たな着目点と思考の変化を促しています。例えば、この報告書では、TOCを用いた洗浄バリデーションの成功事例がいくつか紹介されており、これが多くの企業にとって参考となっています。

まとめと今後の展望

洗浄バリデーションの設計、バリデーション、ベリフィケーションの各段階において、TOCがどのように有効であるかを理解することが、今後の製薬業界における重要な課題となるでしょう。

お問い合わせ

セントラル科学株式会社のロゴ

ライター:セントラル科学株式会社 業務推進部 梅谷光祐

本件に関するお問い合わせは、こちらからお願いいたします。

トップページへ戻る