
初めて北米を訪れたのは1972年だった。幼少時代に都内ではワシントンハイツ(現代々木公園)を金網越しに米軍将校住宅を眺め、表参道には在日米軍家族用の店舗が点在している場所によく連れていかれた。横須賀、厚木、福生の米軍キャンプ周辺には軍人用の娯楽施設が点在していた時代である。
初めて購入した白黒テレビにはアメリカで放映された娯楽番組が多く放送された。「パパは何でも知っている」「ローハイド」「ララミー牧場」「名犬ラッシー」「ボナンザ」そして「ヒッチコック劇場」「世にも不思議な物語」は子供心に本当に恐怖で眠れなかった。ドラマの中で家庭のキッチンにある大きな冷蔵庫から取り出してきて飲んでいる四角い紙の容器には何がはいっているのだろうか?白黒テレビでは判らなかった。初めて渡米した際にそれがミルクやオレンジジュースであることが判明した。まだ日本にはマクドナルドもダンキンドーナッツやケンタッキーフライドチキンも無い時代である。初めて食べたマックのハンバーガーはパンが真っ黄色で、コーラだと思って一緒に頼んだ飲み物はルートビアだった。
通常の日本人は臭くて飲めないと言うのだが、何故か私は感動してしまった。“RootBeer”と書くがアルコールは入っていない。10種類以上のハーブとイースト菌で発砲させたコーラのような飲み物で、1800年代から開拓者達が工夫を積み重ねてきたらしく、コーラもその仲間だったらしい。
米国では家庭で作る自家製ルートビアとしてホームメイド飲料だったのを知ったのは最近のことである。スヌーピーも愛飲してるそうだが、日本では六本木交差点にあった喫茶アマンドでしか飲めなかった記憶がある。その後A&W社が何度か日本に市場参入しようとしたがなかなか市場を伸ばせず、旧米国占領下だったか沖縄のみで成功しているらしい。その他国内では普及しない炭酸飲料には、クリームソーダ、ドクターペッパーチェリーなどがあるが、何故あんなに美味しいものが普及しないのだろうか。これまたエピジェネティックスに関係あるのかな!

岩瀬 壽 氏
一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー、
バイオディスカバリー株式会社 代表取締役社長&CEO。
1951年東京都生まれ。日本大学理工学部工業化学科卒。メルクジャパン、日本ウォータズ、日本ミリポア、日本パーセプティブ、アプライドバイオシステムズ、バリアンテクノロジーズ、アジレントテクノロジーなどで分析機器・バイオサイエンス機器の経営・マーケティングを経験。2001年バイオディスカバリー(株)設立。2013年より日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー兼任。
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