はじめに
一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー、バイオディスカバリー株式会社 代表取締役社長&CEOの岩瀬 壽です。
20世紀後半における医薬品開発においてクロマトグラフィー技術や質量分析技術が創薬研究および製薬製造開発に貢献した功績は、測りきれないものがあるでしょう。また、分析計測機器と分析化学技術の発展は、過去20年で急速な進歩を遂げたバイオサイエンス(生命科学)領域において大きな役割を果たしてきました。生命科学の進歩は、1980年代後半より遺伝子や蛋白質の構造と機能の基礎を解き明かす技術革新の時代に始まり、ヒトゲノム解読完了宣言が成された2003年から現在に至る22年間で、ICT技術の進歩にも頼りながらさらに急速な進化と実用化の時代に突入しようとしています。そして現在は、目を見張るAI技術の進歩により、さらに大きく世界を変えようとしています。
JASIS2025 のみどころ
昨年2024年開催のJASIS2024では、ポストコロナ時代におけるスタートの年として、コロナ禍前2019年とほぼ同じ数の出展社・参加企業数を獲得し、新しく世界に向けた日本発の産学連携プログラムを意識して実行企画が計画され、成功裏に終了いたしました。
そこで、昨年度に引き続き本年9月開催予定のJASIS2025では、イベント全体の傾向として自動化を主にDXを加速できるよう計画しました。そしてライフサイエンス分野では医薬開発に於いて近年急速に活用が期待されつつある最新AI応用による創薬研究を、世界最先端AI研究をリードするカナダ/ケベックMILA研究所よりJacques Corbeil教授をお招きし、特別企画を計画致しました。
さらに、昨年東京工業大学と東京医科歯科大学が統合され新しく誕生した東京科学大学の近未来に向けた挑戦としての計画、第4回目になる日本生物工学会との共働企画セミナー、東北大学からはライフサイエンス最前線研究の情報、過去にはあまり取り上げていなかった畜産バイオに関する生殖トピックスの講演、そして医薬品開発現場における解りやすい知財の話を日本薬局方セミナーに続きセッティングいたしました。今年も興味深い話題が盛沢山のトピックスセミナー故、多くの皆さんのご来場が期待されています。
トピックスセミナー/ライフサイエンス:プログラムサマリー
DAY1:9月3日(木)
東京科学大学(旧東京工業大学+旧東京医科歯科大学):新たなる挑戦
国際会議場 コンベンションホールA
時間:15:00~16:00
- 「最先端科学技術の学際的社会実装によるスマートヘルスケアの実現(仮)」
林 宣宏 東京科学大学 副学長 / 生命理工学院 教授
坂口 卓弥 東京科学大学 生命理工学院 教授
DAY2:9月4日(木)
生物工学におけるDX推進に向けた技術革新
国際会議場 コンベンションホールB
時間:10:30~12:00
- 「日本生物工学会の紹介」
上平 正道 九州大学大学院工学研究院 教授 - 「GXを加速するバイオものづくり基盤 ―シングルセルメタボロミックス技術の開発」
竹山 春子 早稲田大学大学院 理工学術院 教授 - 「細胞製造DXに向けた細胞培養手技計測の取り組み」
蟹江 慧 近畿大学 工学部 准教授 - 「ディープラーニングによる細胞機能解析システム」
上平 正道(同上)
東北大学:未来型医療 創成に向けた未踏研究への挑戦
国際会議場 コンベンションホールA
時間:13:00~14:30
- 「未踏計測技術が創成する未来型医療/創薬/ウェル・ビーイングの展望」
根本 靖久 東北大学 高等研究機構 未来型医療創成センター 特任教授 / 首席URA - 「超硫黄研究の生体計測と社会実装」
赤池 孝章 東北大学大学院 医学系研究科 レドックス分子医学分野 / 国際卓越 教授 - 「オミックス解析と構造生物学の融合が切り開く未来型医療」
小柴 生造 東北大学 未来型医療創成センター / 東北メディカル・メガバンク機構 教授 - 「最先端のゲノム解析研究への貢献と展望」
勝岡 史城 東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム解析部門 教授
特別企画:AI活用によるバイオ計測サイエンス市場の拡大
国際会議場 コンベンションホールB
時間:13:00~16:00
- 「臨床オミクス解析に向けたリピドーム分析プラットフォームの開発」
馬場 健史 九州大学 生体防御医学研究所 主幹教授 - 「AI-Omics Leadership: Positioning Your Organization for the Future of Life Sciences」
Jacques Corbeil Université Laval 教授 / MILA Academic Member / IVADO Scientific Advisory Committee - ~休憩~
- 「ネットワーク・プロテオゲノミクスとディスカバリー・バイオインフォマティクス」
西村 俊秀 聖マリアンナ医科大学 呼吸器外科 客員教授 - 「『既知から未知を発見するAI』による仮説生成に特化した創薬支援ソリューション」
豊柴 博義 株式会社FRONTEO 取締役 / CTO
動物生産のための医工学技術と実用化の最前線
国際会議場 コンベンションホールA
時間:15:00~16:00
- 「生殖補助医療および畜産を含めた動物生産分野での大学発分析機器・医療機器開発」
西園 啓文 金沢医科大学 総合医学研究所 准教授 - 「卵胞の活性化技術について」
池内 真志 東京科学大学 総合研究院 生体材料工学研究所 教授
DAY3:9月5日(金)
日本薬局方セミナー
国際会議場 コンベンションホールA
時間:12:30~14:30
- 「日本薬局方に関する最近の話題」
齋藤 嘉朗 国立医薬品食品衛生研究所 所長 - 「日本薬局方 理化学関連一般試験法の改正について」
加藤 くみ子 北里大学 薬学部 教授 - 「医薬品添加物における品質管理の課題と規制動向 ~グローバル化の視点から~」
阿部 康弘 国立医薬品食品衛生研究所 薬品部第四室 室長
ライフサイエンス知財・最前線
国際会議場 コンベンションホールA
時間:15:00~16:00
- 「ライフサイエンス分野のやさしい知財入門 ~切っても切れない、医薬品と特許の因果な関係~」
田中 康子 エスキューブ株式会社 代表取締役 / 弁理士
エスキューブ国際特許事務所 代表 / 東京農工大学大学院 非常勤講師

岩瀬 壽 氏
一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー、
バイオディスカバリー株式会社 代表取締役社長&CEO。
1951年東京都生まれ。日本大学理工学部工業化学科卒。メルクジャパン、日本ウォータズ、日本ミリポア、日本パーセプティブ、アプライドバイオシステムズ、バリアンテクノロジーズ、アジレントテクノロジーなどで分析機器・バイオサイエンス機器の経営・マーケティングを経験。2001年バイオディスカバリー(株)設立。2013年より日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー兼任。


