全7回:6回目「洗浄バリデーションにおけるMACの計算法」

洗浄バリデーションにおけるMACの計算法
             

洗浄バリデーションにおける最大許容キャリーオーバー(MAC)の計算方法

こんにちは、皆さん。今回は、製薬業界で重要な役割を果たす洗浄バリデーションにおける最大許容キャリーオーバー(MAC)の計算方法についてお話しします。

洗浄バリデーションの役割と構成

洗浄バリデーションプロセスは、製品の安全性と品質を確保するために欠かせないものです。洗浄バリデーションの各プロセスは特殊であり、原材料、プロセスフロー図、作業手順、最小バッチサイズなどが洗浄プロセスに影響を与えます。

このプロセスは、デザイン、クオリフィケーション、ベリフィケーションの3段階に分かれており、プロセスの存続期間中にわたって継続的に確認・更新されるべきです。

MACの定義と必要性

製品の切替時には、次の製品に含まれても患者に危険を及ぼさない前の製品の量、すなわちMAC(最大許容キャリーオーバー)を設定する必要があります。

MACの計算方法

MACの計算方法には、主に以下の2つのアプローチがあります:

  • TDD(1日摂取量)から求める方法:現在の製品と次の製品の情報を基に、リスク評価に基づいた安全率(一般的には1000)を使用してMACを計算します。
  • LD₅₀(半数致死量)から求める方法:製品AのLD₅₀を基に無影響量(NOEL)を算出し、そこからMACを導き出します。

MACから製品基準値・TOC基準値の算出

MACが決定したら、次に製品基準値を計算する必要があります。一般的なサンプリング方法としては、以下の2つが使われます:

  • スワブサンプル
  • リンスサンプル

さらに、TOC(全有機炭素)基準値は、製品基準値に化合物の炭素含有率を掛けることで算出します。

FDAガイダンスとライフサイクルアプローチ

近年、FDAガイダンスでは、ライフサイクルアプローチが推奨されており、TOCなどの非特異的分析方法がベストプラクティスとされています。これにより、洗浄バリデーションはより柔軟かつ実用的な運用が可能となります。

まとめ

洗浄バリデーションにおけるMACの正確な計算は、製品の安全性と品質を担保するために極めて重要です。正確な評価と定量的根拠に基づくプロセス設計が求められます。

皆さんの業務にこの情報が少しでも役立てば幸いです。

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ライター:セントラル科学株式会社 業務推進部 梅谷光祐

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