古き良きアメリカ ( 4 )

馬を率いて水辺を駆け抜ける騎手と群れのダイナミックな場面
             

ナッシュビル到着と機内の“時差”騒動

ボストン発国内便でナッシュビル空港(テネシー州)に到着した機内、シートベルト解除が機内放送されると、一斉に乗客は席を立った。時差は1時間、米国中部時間に時計を合わせようとした時、前列の老夫婦が何やら揉めている。何かなと耳を澄ましてみると、時差についてだった。白髪の腰が少し曲がったおばあちゃんは、おじいちゃんから時差がある事を聞き、「ここはアメリカよ、時差があるわけないじゃない、馬鹿じゃないの」と言い合いをしていたのだ。おそらく人生初めて飛行機での国内旅行だったのかもしれない。団体旅行でナッシュビルにグランド・オール・オープリーを観にくる観光ツアーのようだ。

グランド・オール・オープリーという“聖地”

グランド・オール・オープリーとは、カントリー音楽の聖地ナッシュビルで開かれるカントリー音楽コンサートで、アメリカ人にとっては憧れの世界なのだ。Grand Ole Opry(公式サイト)は1925年から続く国民的なラジオ番組・ライブで、カントリー音楽を象徴する存在である(Wikipediaでも解説あり)。全米にはカントリー音楽ファンが実に多く、唯一日本に輸入されていないMade in USAだと確信している。


カントリー音楽のルーツと広がり

もともとカントリー音楽とは、東部に到着した欧州移民がアパラチア山脈を越えて、マウンテン音楽、フランス系コミュニティーのケイジュン音楽、アイルランド系からケンタッキー州で進化したブルーグラス、南部からのブルースと融合したヒルビリーやゴスペルなどジャンルは様々あるが、これがテネシー州ナッシュビルで放送され、1950年代にジミー・ロジャース、カーターファミリー、ハンク・ウイリアムという大スターを生んだ後、同州メンフィスが生んだエルビス・プレスリー達によりロックンロールと共に全米に広がった。小さなダウンタウンには今もライマン公会堂という昔の庶民が楽しみに週末訪れた音楽ホールが残されており、その歴史はカントリー音楽全体の背景となっている。

日本では知られざる“国民的音楽”

アメリカでこんなに人気のある音楽シーンを日本人はほとんど知らない。日本の演歌をアメリカ人が知らないのと同じなのだろうか。市内を走るタクシーの大半に音符がデザインされてるほどカントリーミュージックシティーの誇りがあるのだろう。日本人にカントリー音楽の話をすると、大半は「西部劇のカウボーイ、拳銃とテンガロンハットのウエスタンでしょ?」と言われてしまう。そうじゃあないんだけどな!!

古き良きアメリカ ( 5 ) に続く

PROFILE
岩瀬壽

プロフィール

岩瀬 壽 氏

一般社団法人日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー、バイオディスカバリー株式会社 代表取締役社長&CEO。1951年東京都生まれ。日本大学理工学部工業化学科卒。メルクジャパン日本ウォータズ日本ミリポア、日本パーセプティブ、アプライドバイオシステムズ、バリアンテクノロジーズ、アジレントテクノロジーなどで分析機器・バイオサイエンス機器の経営・マーケティングを経験。2001年バイオディスカバリー(株)設立。2013年より日本分析機器工業会(JAIMA)ライフサイエンスイノベーション担当アドバイザー兼任。

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